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SPECIAL COLUMN

頭皮のにおいの原因と対策|夏の終わりに見直したい洗い方と乾かし方

2026.09.02    頭皮ケア

頭皮のにおいは「皮脂」だけが原因ではありません

夕方、ふとした瞬間に自分の髪から「あれ?」というにおいを感じたことはありませんか。朝きちんとシャンプーしたはずなのに、夕方には頭皮がべたついて、においが気になる。実はこの悩み、夏の終わりから秋口にかけていちばん相談が増えるものなんです。今日は「なぜにおうのか」と「今日から変えられること」を、現場の視点でお話しします。

頭皮のにおいと聞くと、多くの方が「皮脂が多いから」と考えます。もちろん皮脂は関係しています。ただ、実際にサロンで頭皮を見せていただくと、皮脂の量そのものより「皮脂がどういう状態になっているか」のほうが、においの強さを左右していると感じます。ここを勘違いしたまま対策をすると、かえって悪化することがあります。

においの正体は、皮脂が「酸化」した状態

分泌されたばかりの皮脂は、ほとんどにおいません。においが立ってくるのは、皮脂が空気に触れて時間が経ち、酸化してからです。酸化した皮脂は独特のこもったにおいを出します。枕カバーに残るにおいや、帽子を脱いだ瞬間に感じるにおいは、たいていこれです。

つまり、においを減らすうえで本当に効くのは「皮脂をゼロにすること」ではなく「皮脂を長時間そのままにしないこと」。この違いは大きくて、前者を目指すとゴシゴシ洗いや二度洗いに走ってしまい、頭皮が乾燥して逆に皮脂が増える、という悪循環に入ります。実際、においの相談に来られる方の中には、しっかり洗っているのににおうというケースが少なくありません。

常在菌のバランスが崩れると、においは強くなります

頭皮には、肌を守るためにたくさんの常在菌が住んでいます。この菌たちはふだん、良いバランスで共存しています。ところが皮脂が過剰に残ったり、逆に洗いすぎて肌のうるおいが失われたりすると、そのバランスが崩れます。特定の菌が増えると、皮脂を分解する過程で生まれる物質が、においとして感じられるようになります。

お客様に「洗いすぎもよくないんです」とお伝えすると、たいてい驚かれます。においを消したい一心で、朝晩2回シャンプーしているという方も多いです。気持ちはとてもよく分かるのですが、頭皮という視点で見ると、その回数が原因になっていることもあります。

そしてもうひとつ、季節の影響も無視できません。8月から9月にかけて、頭皮のにおいのご相談は目に見えて増えます。理由はシンプルで、夏のあいだに頭皮がかなり消耗しているからです。強い紫外線、汗、皮脂、エアコンによる乾燥。この4つが重なって、頭皮のバリア機能が落ちた状態のまま秋を迎えます。

さらに9月は、まだ汗をかく日と、急に乾燥する日が交互にやってきます。頭皮からすると条件が読みづらく、皮脂の分泌量も安定しません。「夏よりも涼しくなったのに、なぜか今のほうがにおう気がする」というお声をよくいただくのは、このためだと考えています。夏のダメージが表に出てくるのが、ちょうど今の時期なんです。

サロンで見ている「においが気になる頭皮」の共通点

シャンプー台でお客様の頭皮に触れていると、においが気になる方にはいくつか共通するパターンがあります。体質の問題だと思い込んでいる方が多いのですが、実際には洗い方や乾かし方といった「習慣」で説明がつくことがかなり多いです。ここでは代表的な3つを挙げます。

共通点① すすぎが足りていない

いちばん多いのがこれです。シャンプーを泡立てて洗うところまでは丁寧なのに、すすぎがあっさり終わってしまう。特に、耳の後ろ、えりあし、後頭部の下のほうは、自分では流したつもりでも泡が残りやすい場所です。

残ったシャンプーやトリートメントは、頭皮の上で皮脂と混ざって残留します。それが時間とともに酸化して、においのもとになります。シャンプー台で「ここ、まだぬるっとしますね」とお伝えすると、ほぼ全員が「毎日流しているつもりでした」とおっしゃいます。つもり、が落とし穴なんです。

共通点② 洗いすぎ・二度洗いの落とし穴

これは私自身の失敗談でもあります。美容師になりたてのころ、シャンプーの香りに包まれるのが好きで、朝と夜の2回洗っていた時期がありました。結果どうなったかというと、頭皮がヒリヒリして、夕方の皮脂が前より増えて、においも強くなりました。

頭皮は、皮脂を取られすぎると「足りない」と判断して、余計に分泌しようとします。洗えば洗うほど皮脂が出る、という状態です。においを消したくて洗っているのに、においの材料を増やしてしまっている。当時の私はそこに気づくまで、ずいぶん遠回りをしました。

共通点③ 乾かさずに寝てしまう

濡れたまま、あるいは半乾きのまま眠る。忙しい方ほどやってしまいがちですが、においという意味ではかなり大きな要因です。湿った頭皮と枕は、菌にとって居心地のいい環境です。朝起きたときに枕がにおう、という方は、まずここを疑ってみてください。

特に見落とされやすいのが、髪の表面は乾いているのに、根元と地肌が湿っているケースです。髪が多い方、毛量がしっかりある方ほど起こりやすく、本人はきちんと乾かしたつもりでいます。えりあしを指で分けて、地肌を直接触ってみてください。ひんやりしていたら、まだ乾いていません。

今日から変えられる、においを減らす洗い方

ここからは、シャンプーを買い替えなくてもできることをお伝えします。実際、においのご相談をいただいたときにまずお願いするのは商品の変更ではなく、洗い方の見直しです。それだけで「気にならなくなりました」と言っていただけることが、想像以上に多いんです。

ステップ① シャンプー前の「予洗い」を1分

シャンプーをつける前に、お湯だけで1分しっかり流します。短いようで、実際にやってみるとかなり長く感じる時間です。この予洗いだけで、汗や表面の汚れの大部分は落ちます。

お湯の温度は38度前後のぬるめが目安です。熱すぎるお湯は、必要な皮脂まで一気に奪ってしまい、乾燥とその後の皮脂過剰につながります。気持ちいいけれど、頭皮にとっては少し強すぎる。ここは我慢しどころです。

ステップ② 指の腹で「動かして」洗い、洗った時間の2倍すすぐ

爪を立てたり、髪同士をこすり合わせたりする必要はありません。指の腹を頭皮に密着させたまま、頭皮ごと動かすイメージで洗います。皮脂は毛穴のまわりにあるので、髪をこすっても落ちません。落とすべき場所に、指が届いているかどうかがすべてです。

洗う順番は、皮脂の多い順に。えりあしと後頭部から始めて、耳の後ろ、頭頂部、最後に前髪の生え際。においが出やすいのは後ろ側なので、元気のあるうちに後ろから洗うほうが確実です。全体で1分から1分半くらいで十分です。

そして、ここからがいちばん大事なところです。洗うより、流すほうに時間をかけてください。1分洗ったら、2分流す。それくらいの感覚でちょうどいいです。耳の後ろ、えりあし、後頭部は、手ぐしを通しながらお湯を当てて、すべりがなくなるまで流します。

トリートメントは、毛先中心に。頭皮につけて洗い流しきれないと、それ自体がにおいのもとになります。頭皮用として設計されたもの以外は、地肌を避けて使うのが基本です。

お風呂を出たあとの乾かし方も、同じくらい大切です。まずタオルで地肌の水分を吸い取ります。髪をこするのではなく、指を通してタオルで地肌を押さえるようにすると、ドライヤーの時間が短くなります。その後、ドライヤーは根元から。風を地肌に当てて、指で髪を持ち上げながら乾かします。毛先から乾かすと、根元が湿ったまま残ってしまいます。

全体の8割が乾いたら、最後は冷風に切り替えて30秒ほど当ててください。頭皮の温度が下がり、汗をかきにくくなります。夜のうちに地肌をきちんと乾かせているかどうかで、翌日の夕方のにおいの出方はかなり変わります。ここは手間に見えて、いちばん効果を実感しやすいところです。

それでも気になるときに、考えたいこと

洗い方を整えて2〜3週間続けても変化がない場合は、別の要因を疑います。においは頭皮だけの問題ではなく、体の状態や生活のリズムが反映されることも多いからです。

毛穴に固まった皮脂は、自宅では落としきれないことがあります

長期間にわたって毛穴に蓄積し、固まってしまった皮脂は、毎日のシャンプーだけでは落ちにくくなります。この場合は、サロンでのヘッドスパやクレンジングメニューで、一度リセットする方法があります。マイクロスコープで毛穴の状態を見ていただくと、ご自身でも納得されることが多いです。

ただ、サロンケアは魔法ではありません。一度リセットしても、日々の洗い方が戻れば、同じ状態に戻ります。あくまで「日常のケアが効きやすい状態に戻す」ためのもの、と考えていただくのが正確です。

食事・睡眠・ストレスも、頭皮に出ます

脂質や糖質に偏った食事が続くと、皮脂の分泌は増えやすくなります。睡眠不足やストレスも、ホルモンバランスを通じて皮脂に影響します。私自身、繁忙期で睡眠時間が削られた月は、明らかに頭皮の状態が変わるのを感じます。

生活を全部変える必要はありません。夜、湯船に10分浸かる。寝る前のスマホを少し減らす。この2つだけでも、頭皮のコンディションは変わってきます。頭皮は、いちばん正直に生活が出る場所なんです。

こんなときは、皮膚科への相談をおすすめします

においと一緒に、かゆみが強い、赤みが続く、大きなフケがぼろぼろ落ちる、じゅくじゅくした部分がある。こうしたサインがある場合は、セルフケアやサロンケアで様子を見るのではなく、皮膚科を受診してください。頭皮の炎症は、専門の診断と治療が必要なケースがあります。

私たち美容師は肌の治療はできません。だからこそ、シャンプー台で明らかな炎症を見つけたときは、施術より先に受診をおすすめしています。遠回りに感じるかもしれませんが、それがいちばん近道になることが多いです。

まとめ

頭皮のにおいは、体質ではなく「状態」であることがほとんどです。皮脂をなくそうとするのではなく、残さない。しっかり流して、しっかり乾かす。順番としては、それが最初にやることです。

今日のシャンプーから、すすぎの時間を少しだけ長くしてみてください。それだけで、2週間後の夕方の感じ方が変わるかもしれません。気になることがあれば、次にご来店いただいたときに、シャンプー台で一緒に頭皮を見ていきましょう。ひとりで悩まなくて大丈夫です。

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参考文献

日本毛髪科学協会
厚生労働省 理容師美容師試験研修センター

本記事の内容は美容・ケアの一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的診断・治療を代替するものではありません。症状が改善しない場合や気になる変化がある場合は、皮膚科等の専門医への相談をおすすめします。

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