ブラッシングの正しい方法|ヘアブラシの選び方と髪が傷まないコツ
2026.09.03 ヘアケア
ブラッシング、ただ「とかす」だけになっていませんか
シャンプーやトリートメントの話はよく出るのに、ブラシの話ってあまりされません。私も接客の中で「おうちでどんなブラシ使ってますか?」とお聞きすると、「え、なんだろう…百均で買ったやつかな」という答えが返ってくることが本当に多いです。悪いことではないのですが、実はブラシとブラッシングの仕方は、髪の傷み方をいちばん左右する日常習慣のひとつです。
というのも、カラーやパーマは多くて月に一度。でもブラッシングは、毎日、しかも一日に何度もしています。回数が多いということは、それだけ良くも悪くも積み重なるということ。高価なトリートメントを買う前に、まずブラシを見直したほうが手触りが変わる方は、けっこういらっしゃいます。
絡まったまま無理に引っぱると、そこが切れる
髪は縦方向の引っぱりにはわりと強いのですが、絡まった一点に力が集中すると、そこから簡単に切れます。朝の忙しい時間に、絡まった毛先をブラシで無理やり通した経験、ありませんか。あのときブチッと感じた抵抗は、実際に髪が切れたり、表面のキューティクルが削れたりしている音です。
切れた髪は、当然そこから伸びません。「なかなか伸びない」「毛先だけスカスカになる」というお悩みの原因が、実はブラッシングだったというケースを何度も見てきました。逆に言えば、ここを直せば数か月後の髪の状態が変わります。
ブラッシングには「守る」以外の役割もある
正しく行うブラッシングには、絡まりをほどく以外にもうれしい働きがあります。ひとつは、頭皮の皮脂を毛先のほうへ運んでくれること。皮脂は本来、髪を守る天然のオイルです。根元にたまったままだとにおいやベタつきの原因になりますが、毛先まで行き渡ればツヤになります。
もうひとつは、頭皮への心地よい刺激です。ブラシの先が頭皮に触れることで血のめぐりが促され、一日中こわばっていた頭がふっとゆるみます。私は夜、ドライヤーの前に30秒だけブラッシングする時間をつくっているのですが、これがけっこう気持ちの切り替えになっています。頭の中がくるくるしている日ほど、効きます。
ブラシの種類と、それぞれの得意分野
お店に並んでいるブラシは形も素材もさまざまですが、役割で分けると4つに整理できます。「全部そろえなきゃ」ということはまったくなくて、自分の使う場面に合うものが一本あれば十分です。
クッションブラシ|毎日のとかし用に一本
土台にゴムのクッションが入っていて、ピンが適度に沈むタイプ。力が入りすぎても頭皮に当たる衝撃を逃がしてくれるので、いちばん失敗が少ないブラシです。迷ったらまずこれ、とおすすめしています。
選ぶときは、ピンの先端が丸く加工されているかを見てください。先が尖っていると頭皮を傷つけます。指の腹で軽く押してみて、痛くないかを確かめるだけで十分です。もうひとつ、クッション部分に小さな空気穴が開いているかも見てみてください。あの穴は飾りではなく、押したときに空気を逃がして反発を調整する役目があります。穴がふさがっているとクッションが硬く感じられ、頭皮に当たる衝撃が強くなります。
ピンの素材は、ナイロンや樹脂なら扱いやすく、木製ピンは静電気が起きにくいのが利点です。冬に髪がまとわりつくのが気になる方は、木製やナイロンに天然毛が混ざったタイプを選ぶと、その一点だけでもストレスが減ります。
デタングルブラシ|絡まりをほどくのが得意
ピンの長さがバラバラで、しなやかにたわむタイプ。絡まりに当たったときにピンのほうが逃げてくれるので、髪に負担をかけずにほどけます。毛量が多い方、ロングの方、絡まりやすいダメージ毛の方には特に相性がいいです。
濡れた髪に使えるものが多いのも利点です。ただし商品によるので、パッケージの表示は確認してください。乾いた髪専用のものを濡れ髪に使うと、かえって引っかかることがあります。
獣毛ブラシ|ツヤ出しと仕上げ用
豚毛や猪毛でできた、目の詰まったブラシ。絡まりをほどく力は弱いのですが、髪の表面を整えて皮脂を毛先まで運ぶ働きがずば抜けています。仕上げにさっと通すだけで、表面のパヤパヤした毛が落ち着いて、光の反射がそろいます。
乾いた髪に、絡まりをほどいたあとで使うのが正解です。硬いので、いきなり絡まった髪に入れると引っかかります。あくまで「最後のひと仕上げ」と覚えておいてください。
スケルトンブラシ|乾かしながら使う
ピンの間隔が広く、すき間から風が通るタイプ。ドライヤーを当てながら使うと、根元を起こしつつ効率よく乾かせます。ボリュームが出にくい方や、前髪の生え際のクセをのばしたい方に便利です。
熱に強い素材かどうかだけ確認してください。安価なプラスチックだと、ドライヤーの熱で少しずつ変形してピンの向きが乱れ、髪に引っかかるようになります。
髪を傷めないブラッシングの手順
道具より大事なのが、順番です。ここは今日から、今持っているブラシのままで変えられます。
毛先から、少しずつ上へ
いちばん大事なのがこれです。根元からいきなり通すと、途中の絡まりを全部まとめて毛先に押し込んでしまい、大きな結び目をつくってしまいます。まず毛先だけをとかし、通るようになったら少し上、また通ったらもう少し上、と進めてください。
絡まりがきついところは、髪を上から手でおさえて根元側を固定してから、下の部分をほどきます。こうすると頭皮が引っぱられず、痛くありません。所要時間は慣れれば1分もかかりません。
髪が長い方や毛量が多い方は、全体を一度にとかそうとせず、後ろ、横、上と三つくらいのブロックに分けてみてください。一度に扱う量が減るほど、ブラシは軽く通ります。「力を入れないと通らない」と感じたときは、たいてい一度に持っている量が多すぎるサインです。ブラシを変えるより先に、束を細くしてみてください。
濡れた髪へのブラッシングは慎重に
濡れた髪はキューティクルが開いていて、いちばん傷つきやすい状態です。基本は、洗い流さないトリートメントをつけて表面をなめらかにしてから、目の粗いコームか、濡れ髪対応のデタングルブラシで軽く整える程度にとどめます。
獣毛ブラシや目の詰まったブラシを濡れた髪に使うのは避けてください。抵抗が大きく、負担がかかります。しっかりとかしたいなら、乾かしたあとに。順番を入れ替えるだけで、負担はぐっと減ります。
シャンプー前のひと手間が効く
意外と知られていないのですが、ブラッシングはお風呂に入る前がいちばん効果的です。絡まりをほどいておくとシャンプー中に髪同士がこすれにくくなりますし、ほこりや浮いた古い角質が落ちて、泡立ちも良くなります。
やり方はシンプルで、毛先からほどいたあと、生え際から後ろに向かって全体を数回とかすだけ。1分弱です。これを習慣にすると、シャンプー時の抜け毛が減ったと感じる方が多いです。実際には抜けにくくなったというより、無理に引き抜いていた分がなくなった、という感覚に近いと思います。人の髪は一日に50本から100本ほど自然に抜けるものなので、排水口の毛をすべて「減った」と受け取らなくて大丈夫です。
朝と夜で、役割を分けて考える
同じブラッシングでも、朝と夜では目的が違います。朝は「整えるため」。寝ている間についたクセをのばし、分け目や表面を落ち着かせるのが仕事です。ここでは獣毛ブラシやクッションブラシで表面をなでるように通すと、余計な広がりを抑えながらツヤを出せます。スタイリング剤をつける前に一度とかしておくと、ムラなくなじむのでおすすめです。
夜は「リセットするため」。一日ぶんのほこりや皮脂、絡まりを落として、頭皮をゆるめる時間です。こちらはクッションブラシで、頭皮に軽く当てながらゆっくり。強く押しつける必要はまったくなくて、ピンの先が触れるくらいで十分です。朝は表面、夜は根元から。この使い分けだけ覚えておくと、迷わなくなります。
やりがちな失敗と、ブラシのお手入れ
サロンでよくお聞きするつまずきポイントを、二つだけ挙げておきます。どちらもすぐ直せます。
「100回とかすと髪がきれいになる」は本当?
昔からよく言われる話ですが、やりすぎは逆効果です。ブラシが髪の表面をこする回数が増えるほど、キューティクルは摩耗します。回数の目安は、絡まりがほどけて表面が整ったところまで。全体で10回から20回も通せば十分です。
「たくさんやるほど良い」ではなく「必要なぶんだけ、丁寧に」。これはケア全般に言えることかもしれません。
ブラシは「汚れる道具」だと考える
ブラシには、抜けた髪だけでなく皮脂やスタイリング剤、ほこりが少しずつたまります。そのまま使い続けると、せっかく洗った髪に汚れを塗り直しているような状態になってしまいます。
たまった髪は週に一度は取り除き、月に一度はぬるま湯で薄めたシャンプーで洗って、しっかり乾かしてください。木製や獣毛のものは水に弱いので、根元を濡らしすぎないのがコツです。乾かすときは、ピンを下に向けて置いておくと、クッションの内側に水が残りません。ピンが折れたり、先端の丸い部分が取れてしまったら、買い替えどきです。欠けたピンは、思っている以上に髪を引っかけます。
それと、ブラシは家族で共用しないほうが安心です。頭皮の状態は人それぞれで、皮脂の量も常在菌のバランスも違います。かゆみやにおいが気になっているときは特に、自分専用の一本にしておくと余計な心配が減ります。
まずは、お風呂の前に1分だけ
新しいブラシをすぐ買わなくても大丈夫です。今夜、お風呂に入る前に、毛先からほどいて全体を1分とかしてみてください。それだけで、シャンプー中の絡まり方と、乾かしたあとの手触りが少し違うはずです。
そのうえで「自分の髪にはどのブラシが合うんだろう」と迷ったら、次のご来店のときに聞いてください。実際に髪の量やクセ、長さを見ながらのほうが、ずっと具体的にお伝えできます。なんでもない日の朝が、少しだけ楽になりますように。
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本記事の内容は美容・ケアの一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的診断・治療を代替するものではありません。症状が改善しない場合や気になる変化がある場合は、皮膚科等の専門医への相談をおすすめします。

